落ち着いたと言ったらそれはウソになるが、それでも以前より幾分か動揺はなくなった。
ただ、どうしても食事の用意をひとつ多くしてしまったりだとか、ふとしたとき、あああれは事実だったんだと、ひしひしとその重たさが伝わってくる。
特にクラウドは。
以前から決して陽気な性格でなかったことは確かだが、いっそう塞ぎ込んでしまったように思えた。
気を利かせてユフィが、場を和ませようと明るいことを言っても、いつものように冷たくあしらう。
いつも、だったらでもきっとその場はそれでも落ち込んだりはしていなかった。
エアリスがうまくフォローをしてくれていたからだ。
今は、どうしたって場の雰囲気は悪くなり、悲しいことに、彼女はこんなささいなことでもいちいち支えになっていてくれたんだと、思い出す。
「ほらクラウドってば!もうそんなブスっとしないでよ。ユフィも、もうスネないの!」
ティファのなけなしのフォローが、クラウドの傷口を、抉る。
「クラウド」
野営を組んでも、最近は食事と見張りの番以外で、クラウドが仲間と過ごすことはなくなった。
そんな彼を日頃気にかけていたティファが、今日も相変わらず木の下で傍らに剣を置き、ひとりで時間を持て余すクラウドに歩み寄る。
「…ティファ、」
「ねぇ、ちょっと元気ないよー。ほら、笑って笑って、ね!」
「…それ、エアリスにも同じこと言われた…」
「…、なにそれ」
ティファは、おもしろくない、といったようにクラウドの傍らに置いてあった剣を見やる。
「今日は、整備、もう終わったの?」
「ああ」
「ふぅん、じゃああたし、明日から整備するとき傍で見てよっかな」
「…ティファ、」
「なによ」
「悪いけど」
「…何よ」
「わかるだろ」
「いいじゃないよ、別に…」
「ティファ」
「だって、」
「ティファ、やめろ」
「だってエアリスはもういないんだから!!」
風が、やんだ。
認めたくなかった、誰もが認めても、自分ひとりだけは信じようとしなかった事実を、改めて突きつけられた気がした。
…いや、そんなことはとうに知れてる。
あり得ない。
でも俺はあのふわふわな髪、緑の瞳、そしてあの笑顔をもう何日も見ていない!
「…ごめん」
それまでしっかりクラウドを見つめていた大きな目は潤み、視線を足元にずらした。
「いや、いいんだ…」
「…ごめんね」
ティファの横で空気が動く。
クラウドが、ゆっくり立ち上がった。
「いいんだよ、俺も。
いいかげん、強くならないとあの人に小言を言われそうだ」
友達よ、ずっとずっと、何があっても、友達でいようと、誓った。
何があっても。
今思えばそれは、クラウドのことなんだろうとなんとなく思う。
(sigh)
ため息があまりに自然で、夜の冷たい空気に溶けた。
(わたしはあなたには勝てないのね、エアリス)
目の前から夜の闇に消えてゆく背中を眺めながら、ティファはふと、思った。
いかんせんクラエア派なので、悲しいかな、ティファには不幸な目に遭っていただいてしまうのが申し訳ないのですが。
(だってそれはゲームをプレイする前にステキなクラエアサイトを見つけてしまったことが悪い!)
すごいね、共有する想いを持つ女の子同士と言うのは結束と言うか、すごくアツイものがあって。
もちろんライバルには違いないんだけど、その分誰よりもお互いのこととか知っているような気がします。
それだけに、残念なことにクラウドは一人しかいないので!必ずどちらかが辛い目に遭うと言うことは否めなく。
そこであたしは、エアリスと言う存在は、存在は消えてもなお、クラウドにとって大部分を占める存在であって欲しいと思ったので(そりゃ仲間みんな同じだろうけど、人一倍ね)。
こういう結果に、なりました!