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091:これが最後じゃない / 092:抱きとめる / 093:無力を呪う / 094:一歩前へ / 095:眩暈



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091:これが最後じゃない(クレミン)


 真っ白い雪は、羽のようにやさしく降り積もる。
 そっと手を組みなおす。震えが止まらない。だけれどこれが寒さのせいではないことはわかっていた。
 
 ほうっと息を吐きながら、整理しようにも目の前に広がる世界と同じように真っ白な頭の中。考えようにもどうしようもない。ここまで来て引き返すつもりもなかったが、やはり緊張は隠せない。

 それを告げることは、覚悟のつもりだった。


「もしかしたら、これが、最後かもしれないから」
「最後じゃない」

 ミントの言葉が終わるより先に、クレスは言った。

「最後なんかじゃないさ。きっと明日が来る。あさっても。約束したじゃないか。一緒に、きみのお母さんのお墓参りに行こうって」
「…クレスさん」
「明日も、あさっても、きみと一緒に迎えたいんだ」

 いつのまにか身を乗り出すように熱心に語るクレスに、寒さも緊張も忘れてじっと魅入ってしまっていた。


 そうだ。
 そう言うあなただからこそ、わたしは惹かれた。

 明日も、あさっても。これから先、ずっと。
 失うことを恐れるより、素晴らしい未来を生きるために。

 わたしたちは、戦うのだ。


(060930/原作準拠シリーズ…?)



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