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お題提供:ふたりへのお題ったー
手をつないで、微笑んだら / 「あなたを利用しますね、って先に言うだけ優しいと思って」 / あしたを紡ごう
女の子にはなれないけど / 「みないで。」 / 三日月に誘拐されて
やさしさってたぶん、君 / 「おいしいね!」 / みっつ数えたら、目をあけて
とくべつなこと / 「もうやめて、」 / 指をさされて臆病と言われても
ばかみたいに欲張りになってた / 「あの、はじめまして、…よろしく。」 / 君なしで生きていけたらいいのか
レンズのむこうがわ / 「おめでとう。」 / はじめから飛べるわけもなく
思い出す暇もない / (たったその一言なのに、な。)
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(20140228)
【手をつないで、微笑んだら】
任務を終え、報告書出しに行くからと背を向けたカカシに駆け寄り、ポケットに突っ込んだ左手にしがみつく。
「つなぐ?」
答える代わりにニッコリ笑えば、しょうがないねーと重ねられる大きい手。
子供のふりして甘えられるのは、あとどれくらいだろう。
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春野、はたけ部隊長と付き合ってるらしいぞ
うわまじかよ、ちょっかい出したら命はないな
「…なぁ、いい加減恋人のふりやめないか?恨みがましい視線が痛いんだけど」
【「あなたを利用しますね、って先に言うだけ優しいと思って」】
牽制のための恋人ごっこ、了解したのはあなたでしょ。
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【あしたを紡ごう】
カチャ…と刃物が小さくぶつかり合う音。
パラ…とページをめくる音。
視線も言葉も交わさない。
ふと先生の手元を見れば、美しく整備された忍具。こうして手入れされた切先が、何度も私達を守り、里の明日を守る。
そして私はこの書物から、そんな先生を癒す力を纏う。
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(20140301)
【女の子にはなれないけど】
「サクラみたいなしっかりした女の子がいてくれたから、7班はなんとかやってこれたんだよね」
しっかりした子、と先生は私をよく褒める。
私のなかにいる女の私が、それでは物足りないと騒ぎ出す。
ねえ先生、女の子じゃない私も、褒めてくれますか?
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湯呑みを手に取った先生が顔布に手を当てる。すかさず顔に視線を向ければ、みないで、と困り顔。
「いいじゃない減るもんじゃないし」
「そんなに見られてると緊張するの」
なによケチ!と諦めてスプーンであんみつを掬ったところで、視線が気になり顔を上げる。
【「みないで。」】
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【三日月に誘拐されて】※死ネタ
こころを喪うと涙も出ないらしい
窓辺から見える三日月はまるであのひとのように儚く白い
そんなことを考えているとそのひとは音もなく現れた
先生、とつぶやけば優しい笑顔
差し伸べられた手を迷いなく取る
未練などない
あなたと共にいられるのなら
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(20140303)
【やさしさってたぶん、君】
傷口にあてられた掌から感じる、あたたかなチャクラの発光。
目を伏せるサクラを見つめ、教え子の成長に痛みも心も解れてゆく。
ふと、無茶しないでよね、と零れる小さな声。
たまらずくぅ、と喉を鳴らして細い肩に頭を預ける。
医術ばかりでない、癒しの力。
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久しぶりの一人の休日。
なんとなく料理をしようと思い立ち、ちゃんと夕飯を作った。
随分とうまくできた。彼女が作るより。
なのに。
(味気ない…)
理由は明らかだ。
【「おいしいね!」】
と笑うきみがいないから。
ひとりのときは知らなかった。
ひとりで過ごすさみしさ。
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どれほどしつこくねだっても交わされてきたのに、何の気なしに素顔を見せてとお願いしたら、いいよとあっさり返された。
【みっつ数えたら、目をあけて】
いち、にい、さ
ん、は鼻を抜ける吐息に変わる
あれ?
「…なんで私キスされたの」
「俺の秘密をタダで奪おうなんて10年早いよ」
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(20140304)
【とくべつなこと】※イチャイチャ注意
先生の身体に巻き付けた腕にぎゅ、と力を込めれば、わたしを抱き締める腕もまたぎゅ、と力が入る。例え微睡みのなかであっても。
夢から醒めても覚えていない、無意識の反応。
まるで子どもみたいで、かわいい。
わたしだけが知っている、先生の姿。
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【「もうやめて、」】※先生死の淵
嫌よ…ッ、と泣き喚きながら、それでも彼女は治療の手を止めない。
おそらく、もう、無理だ。どんな手を尽くされても。
「他の、見込みのある奴の回復を、」
「こんなときばかり先生ぶらないでよ!」
視界が霞んでゆく。もっと笑顔を、見たかったのにな。
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【指をさされて臆病と言われても】
ふたりで夕飯を食べた帰り。自宅の前まで送ってもらって。
いつもならそこでじゃあね気をつけてねで終わるのに、なんとなくお互いに別れの言葉が出てこない。
((いくじなし))
どっちがだろう。
その一歩を、踏み出せない。
大切過ぎて、壊せない。
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(20140306)
【ばかみたいに欲張りになってた】※メンヘラ
「先生のぜんぶをちょうだい。先生の本、コップ、ふとん、冷蔵庫、」
「いいよ」
「先生の時間も、暮らしも」
「俺はいらないの?」
「ぜんぶを奪ってしまえば、先生は私なしでは生きられないでしょ?」
本当に欲しいものは、あなただけ。
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※お初?
いいのか
いいわよ
ムードもへったくれもない。
いいのか本当に?やっぱよくなくね?てゆかだめじゃね?
強気な言葉と裏腹に目尻に溜まりゆく涙。
自分の中にある背徳心に責め立てられつつ、かえってそれが興奮を煽る。変態か。
【「あの、はじめまして、…よろしく。」】
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【君なしで生きていけたらいいのか】
私はきっとマゾヒストだ。
壊れもののように抱きしめられた翌朝、彼は何も告げずに姿を消し、死にかけの様相で帰ってくる。
身勝手だ。とても。どれだけの夜、枕を濡らして過ごしたことか。
離れれば、楽になれるのに。
でも。決して。離れられない。
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(20140307)
<以下3本連作>
【レンズのむこうがわ】
純白のドレスに身を包んだ花嫁は本当に美しく、また腕を組み笑い合うふたりはとても幸せそうだ。
シャッターを切る。
この美しく幸せな瞬間を閉じ込めるように。
気がつけば同期や同僚、皆それぞれに伴侶を得て、文句もあるが幸せそうだった。
いつしか、私だけ。
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【「おめでとう。」】
キャンドルサービスをしにやってくる新郎新婦にあたたかい拍手を。
幸せそうな二人につられて笑顔になる。
パシャ、という音に視線をずらせば、隣席の教え子が、幸福そうな顔でシャッターを切っている。
苦笑。
(いつになったら花嫁姿のきみを見れるんだろうねぇ)
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【はじめから飛べるわけもなく】
「次はそろそろサクラの番かね」
「先生、わたし7班があまりに大変だったから行き遅れたの。だから責任取ってくれる?」
先生として。
冗談を含ませるでもない大真面目な提案に、酔わないようにと脇に避けていたウェルカムシャンパンを煽るしかなかった。
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(20140308)
【思い出す暇もない】
流れ作業のように、次から次へと充てがわれる負傷者の治療にあたる。
名の知れた上忍の殆どが駆り出されるほどの任務。負傷してでも、帰ってきたものは6、7割がせいぜい。
考えてはいけない。大丈夫に決まっているから。
張り詰めた緊張が解けぬよう、治療に集中した。
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気付けばいつも傍にいて。
居心地の良さに甘えて。
しっかり者だからたまに頼られて嬉しくなったりして。
傍で見守っていたいと思うようになって。
この感情を呼ぶ言葉は、間違いなくそれなのに。
告げてしまって失うのを恐れ、伝えられないでいる。
【(たったその一言なのに、な。)】