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お題提供:ふたりへのお題ったー
きっといっしょうをかけても分からないこと / 「泣いてもいいのかな。」 / 落日に、ならんだふたり
無邪気な愛を / 「泣き顔がすきだな」 / 合鍵は右のポケットに
つたえたいメロディがあるよ / 「わらってよ。」 / 渇いてしまったわらい声
抑えきれる程度の想いだったらよかった / (そう言ったらきみはきっと、怒るかな) / ふたりだから、終わらないよ
無限ループをはずれて / (どうして気付かないかなあ) / きみをすきになってよかった。
たちまち物語は終焉へと / 「失敗作ですか」 / たったひとりきりだから、
変換はお手の物です / (このままいっしょにいても、いい?) / 嫌いになるには好きになるしかない
愛情のあかし / 「しょーもなくバカだね」 / 戸惑うことがある、
オートロックすら効果無し / 「いっしょうのおねがい。」 / こわれないようにこわさないように
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(20150121)
心も体も痛めつけながら、尚追いかけ続ける気が知れない。
やめちゃえばいいのに。もっと優しくしてくれるイイヒトいるんじゃない?
「サスケくんじゃなきゃ意味ない。【きっといっしょうをかけても分からないこと】よ先生には」
ずきん、と痛む胸。
知らないままでいい。こんな痛みなんて。
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大事にしていた初恋を断ち切ろうとした覚悟も、自分の弱さに負けてしまった。そしてその相手から無情にも振り上げられた刃を眼前に控えたときの絶望が浮かび、こみ上げる様々な想い。
【「泣いてもいいのかな。」】
思わず弱気な言葉を漏らす。
大きな手のひらが、わたしの頭を静かに撫でた。
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【落日に、ならんだふたり】
「あっけなかったね」
初恋を手離し、背中を見送った。しがみつけば変わったかもしれない。でもしなかった。決めたのは自分。
「そうでもないわ」
緩やかに長い間、認め続けてきた決意。
「ねえ先生」
暗闇に包まれた心を、暖かな光で包んでくれていたのは。
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(20150122)
【無邪気な愛を】
「カカシ先生が好きよ」
それから3秒、なーんちゃって☆と可愛らしくも非道な声が聞こえるまで、情けないことに硬直していた。
「えぐい冗談言うね〜」
「うん。先生が好きだから、困らせたくなっちゃったの」
屈託ない笑顔の下に、俺は女を見つけてしまった。
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白昼、待って!と耳慣れた甲高い涙声。その視線の先ではカッコつけた背中がスタスタと遠ざかるところだった。飽きもせずよくやるね。でも、誰かをひたむきに想って流す涙ってなんて魅力的なの。
俺にもちょうだいよ、なんて、年甲斐もなくねだりたくなったりして。
【「泣き顔がすきだな」】
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【合鍵は右のポケットに】
着替え、寝間着、洗面用品etc…重たい荷物を提げているわりに、ほとんどスキップのような軽すぎる足取りのおかげで、ポケットの中でチリンと鳴る愉しげな鈴の音。かつての演習のそれをつけたのは、彼との初めての思い出だから。
(とうとう許されたんだ!)
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(20150123)
【つたえたいメロディがあるよ】
『年下じゃいけないの?答えて ねえ先生』
最近お気に入りなの!と、スピーカーにしたスマートフォンから流れるその一曲を、同室にいるばかりに繰り返し聴かされている。
いやほんとうはわかっている。その一節だけを声に出して歌っているその意味も。
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「カカシ先生はわたしを好きになーる…」
紐で括った五円玉を揺らし、頼りない呪文を繰り返す君を、とても冷めた目で五円玉越しに見る。
ああ、痛い。痛すぎる。
「もう!【「わらってよ。」】
でもそんな痛さをカワイイと思えてしまうくらいには、実は既に陥落しかかってたりして!
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【渇いてしまったわらい声】
あはは…と呆れたように笑われたのが恥ずかしく、目を伏せる。しまった、はずした。さすがに子どもっぽすぎたかしら。冗談の中にじょうずに本気を混ぜられない。声が止んで、おそるおそる顔を上げれば、耳まで真っ赤に染めた先生の顔。…あれ?催眠成功しちゃったの?
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(20150124)
火影就任後立て続けに舞い込む縁談話を、いつもは交わし続けていたのに突然了承した。ねえどんな美人だったの?とうとう誰かのものになってしまうの?
「お願い行かないで」
気付いたときには、めかし込んだ先生の背中にしがみ付いていた。
【抑えきれる程度の想いだったらよかった】
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縁談はもとより断るつもりだった。きみの気持ちを知りたくて。最低で男らしくないのは承知の上。それでもうかつに行動できないほど互いに雁字搦めだった。
(…予想以上だった)
俺を想って涙するきみの美しいこと!
【(そう言ったらきみはきっと、怒るかな)】
いや、殺されるな。
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よりにもよって大名の令嬢の見合いを直前で蹴り、きみの手を取り部屋を飛び出した。
ずっとこうしたかったのに、こんな最悪なタイミングで実行するなんて。
「あー…もう、終わったわ」
なーに言ってるの。
【ふたりだから、終わらないよ】
幸せな地獄の日々は、これからでしょ。
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(20150128)
【無限ループをはずれて】
背を向けかけたカカシ先生の手を捕まえれば、驚いた表情を返される。
とうとう動き出した。ルーティンからはずれて起きたひずみは、これからどう転ぶだろう?
でも例え怖くても、現状に満足してなどいられなかった。
「おやすみ」だけで別れる夜なんて、もう!
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「カカシ先生のことが好きよ」
「俺もサクラちゃんのことだーいすきよ」
任務の休憩中、背中合わせで繰り返す告白合戦。相手が違うでしょと宥められたのも最初だけ。子どもの冗談と扱われ、近頃は抵抗なく好きを返される。
【(どうして気付かないかなあ)】
最初から本心なんだけどな。
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任務帰りのくたびれた体で眺めた朝焼けが美しかった。仲間に連れられた飲み屋のなめろうが旨かった。ナルトのトンチンカン発言で脱力させられた。なんてことない出来事ぜんぶ、きみと分かち合いたい。
過去を振り返るばかりだった俺が、今未来を夢見ている。
【きみをすきになってよかった】
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(20150202)
【たちまち物語は終焉へと】
あれほど強く焦がれていたのだから、もっと泣いて縋るかと思った。しかし離れていく背中を見送る表情は晴れやかだ。
ねえ先生、と向けられたのはかつてあいつに向けていたまなざし。
俺が読み進めていたストーリーは、いつの間にか新章へ突入していたらしい。
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調理実習で失敗して…と差し出された色気のないポリ袋から透けて見えるカップケーキ。
「捨てるの勿体無いし先生にあげる」
なら頂こうかなと受け取ると、平静を装っていた顔が瞬く間に綻んだ。袋に控えめに貼られたハートのシールは、気づかなかったことにしよう。
【「失敗作ですか」】
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【たったひとりきりだから、】
カカシ先生は言い訳のように繰り返す。ねえそれだけなの?わたしが落ち込むギリギリのタイミングで現れるのは。弱音を吐きたいような絶妙なタイミングで甘味処に誘ってくれるのは。
もし本当にそれだけなら、どうかその縛りをほどいて。わたしが勘違いする前に。
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(20150204)
カフェのランチメニューに思案顔のカップルに「いいなぁ」旅行誌を広げ声を弾ませる男女に「いいなぁ」公園で体をすり寄せ合う犬に「い…」やよくない。
(とうとう犬にまで…)
すれ違う幸福に先生と自分を重ねる日課。
上司との水面下の恋愛は難儀なものだ。
【変換はお手の物です】
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戦線を脱した気の緩みから眩暈を起こした俺に、支えに入る細い腕。だらしない先生ですまないと謝れば、それ聞き飽きた…と呆れた声。
なのに安堵の息を漏らす横顔に、これからもだらしのない俺を支えてくれないかなぁなんて、甘い考えが頭を過った。
【(このままいっしょにいても、いい?)】
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「先生わたしのこと好き?」
「んー、しつこい子は嫌い」
するとしがみついていた手が途端に離れた。嫌いは言い過ぎたかとおそるおそる伺うと、零れ落ちそうなほど目を見開いていた。
「ってことはすきってことよねっ」
なんでそーなるの…?
【嫌いになるには好きになるしかない】
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(20150220)
「サスケくんにまたウザイって言われたぁ」
「おまえの魅力に気づかないなんて、【「しょーもなくバカだね」】
「ヒドイ!サスケくんを悪く言わないで!」
泣きついてきた少女を宥めようと言ったのに、泣き声は一際大きくなる。そんなきみから目を離せない俺は、もっとしょーもないバカだね。
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サスケくんに冷たくされて泣いていると、先生はいつもよしよしと頭を撫でてくれる。
するとどれ程辛くてもまた頑張ろうと思えた。
自分の気持ちに【戸惑うことがある、】
振り向いて欲しくて茨の道で彼を追いかけ続けていたのか。
先生に慰めて欲しくて茨の道に突っ込んでいったのか。
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サクラは班員の弁当を拵えて任務に来る。今日はわかりやすく俺の包みが大きく重い。随分張り切ったな?
「当然よ。【愛情のあかし】だもの」
驚いて手放してしまったそれをなんとか再びキャッチできたのは上忍としてのプライドからだ。
断じてサクラの泣きそうな顔が見えたからではない。
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(20150509)
他人との関わりを最低限に抑えてきたのは自分が傷つかないための盾。だから大勢から背を向けてきた。
しかしそんな頑なな心を解す強者が現れた。
「先生?」
あざとい上目使いに甘い声で呼びかけられれば、拒むどころか微笑み返す選択肢しか出てこない!
【オートロックすら効果無し】
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先生はわたしの【「いっしょうのおねがい。」】に弱い。上目遣いに首を傾げば、諦めたように折れてくれる。わかってやってるわたしはずるい。
「俺は何回分の人生をお前と過ごせばいいんだろうね?」
先生はわたしよりもっともっとずるい!
だって先生、それロマンチックすぎない!?
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【こわれないようにこわさないように】
「大じょーぶ、おれはそんなやわじゃないよ」
おれの腕の傷口に手をかざし、チャクラを練り始めたサクラの不安げな表情。
初めての対人の施術。緊張を解そうとしたが、表情はかたいまま。
「傷付いて大丈夫なひとなんていないのよ、先生」