「わー、かわいいなこいつら!」
思わず吼太は声に出して言ってしまった。
ただいまと言っても返事がないことから、今日は一番乗りだったかと思ったのだが。
おぼ研のソファで、すやすや安らかな寝息をたてている…一応、忍者が二名。
たぶん今一撃、顔のすぐそばまで繰り出しても起きないんじゃないのかなぁ、とあまりに無防備な鷹介と七海を心の中では叱咤しつつも、しかし子供のように安らかに眠るふたりを見ていると、まぁいいじゃないか今くらい、と甘い考えになってしまう。なにより疲れていたはずの吼太すら、その寝顔ですっかり癒されてしまった。
イルカのぬいぐるみを抱いた七海が鷹介の肩にもたれかかり、その七海の頭の上には鷹介の頭が重なっている。
そんな様子でもまるで恋人同士のよう…には見えないのは、やはりふたりがいつもじゃれあい、まるできょうだいのようであるからだろうか。
吼太はなるべく音を立てないように気をつけながら、夕食の支度をしに台所へ向かおうとした。
「んん…、コウタぁ…」
「あれ、七海? ごめん起こした?」
しかし吼太が振り返っても、ふたりは相変わらずすやすやと寝ている。
なんだ寝言か、と七海の肩にポンと手を置いてから、再び台所へ足を向けたのだが。
(寝言、)
夢でまで3忍一緒なのだろうか、と吼太は思わず苦笑する。
いつも一緒なんだから、夢の中くらいもっと現実味のない世界を味わったっていいだろうに。 そう思いつつも、しっかり自分をのけものにせずにいてくれたことを嬉しくも思う。
果たしてストックしてある食材は何があったろうか。
幸せな気分を与えてくれた代わりに、心づくしにふたりの大好きなカレーでも作るかと、腕をまくりながら吼太は夕食作りに取り掛かった。
(071202up)
いつ書いたかさえ覚えてないけど完成してたのであげてみた…。
たぶんコウタがいとしくて仕方ないあの時期だったろう…。短いですがけっこうすき。